雪崩 最終編

仲間に掘り出してもらい
自由の身に
意外と恐怖はありませんでした
それからもひたすら下り続け
結局山頂から３時間の戦いでした
仲間は全員山頂からふもとまで２０分はかからない腕の人です

最後はタクシーを拾うのか
隣のスキー場に出るのか
とにかく人のいるところに出たい一心で
雪道をラッセルしました

ゲレンデに戻ったときは心身ともにくたくたで
そっこー東京に帰りました

来年はビーコン買おうと決心するのでした　　おしまい

雪崩続編

だんだん光が小さくなり
左目にしか光は届かなくなりました
ラッキーなことにそこで雪崩は止まったのでした
しかし完全に体は埋没し右の手首から先だけが外にありました
たまたま顔の近くにあったので
手首を動かして口の中の雪を掻き出しました
タコみたいに口を伸ばすと呼吸ができます
さすがに興奮しているのか
呼吸が荒く、１０回ほど呼吸したのを覚えています
呼吸が確保されると気持ちも落ち着きました
仲間の名前を呼ぶと返事があり
自分一人だけ巻き込まれたのがわかりました
次の雪崩に全員巻き込まれたら終わりです
二次被害を防ぐために　
～助けに来ないで～といいました
まず安全なところで停止してもらいました
安全確保が原則です
次にこちらは大丈夫だから一人だけ助けに降りてきて
とお願いしました
意外に冷静だったようです　　　つづく

死んでまうぅ~

さらに苦難は続きます
川にはまると抜けられないので
谷に落ちないよう高度を保ちつつ
尾根沿いに移動しますが
まさになだれそうな急斜面
左の腰は斜面に立っているだけなのに雪に触れる怒急斜面
なだれを警戒して前の人と距離を保ちつつ
木が生えてて安全そうな場所で立ち止まり
後続を待ちます
そのときでした
ポンッ　と大きな音がして
僕の足元全部が動き出しました
後で聞くとあっ　だけ声を発したようです
どんどん流れてゆく中
まず木が迫ってきたので
右手で抱きつくように抱え込みましたが
すぐに引き剥がされ
目の前の視野が頭にかぶさる雪でどんどん狭くなってきます
（ここでなだれだと認識したと思います）
それでも何とかもがいていましたが頭は雪の中へ　　　つづく

滝は嫌い

滑り出しはももまでのパウダー
斜面は約４０度
ところによっては５０度を超える急斜面
先頭を滑っていました
たのしーい　　だけど何かが違う？？
地形が変わった？
２年ぶりでしたが風景も地形も違っています
やな予感がして立ち止まり
後続に迂回するように指示
後から来た仲間が左に迂回して、下からアドバイス
ドウワキ君そこ滝の上だよ？？？
なんと冬なのに凍結していない
９０度のがけの縁に立っていたのでした
足元の雪の下は水が流れている
つっつつつまり、割れたら滝つぼへＧＯ
おそらく氷の下にもぐりこんで流れたら間違いなく死亡
びびって斜面を登り始めましたが
新雪が積もった氷の５０度の斜面はなかなか上れません
１０ｍ上るのに３０分ほど格闘
何とか滝を左に迂回し下から見上げると約３０ｍの絶壁
滝つぼはみえません
圧巻というより知っていたらぁ
あんなとこに立てませんの世界でした　　続く

院長２月７日雪崩で死亡

いやー危ない危ない
もー少しでらくぅ～になちゃうとこでした

先日の大雪で満を持してスキー場へ
当然早速オフピステへ
午前中の最後に通称地獄谷へGO

地獄谷はその名の通り天国と地獄が隣あわせ
まるでハーレムを裸で歩く美女のような
魅力と危険な香りがぷんぷんしている場所なのです

通称、竜の谷と呼ばれる雪崩の銀座もあります
積雪が３Mを超えないと木々が埋まらず
昨年は行けなかった場所です

皆さんは雪は軽いふわふわしたもの
というイメージだと思いますが
雪は家を押しつぶしたりしますし
スコップで山盛りにした雪を持ち上げた経験がありますか？

イメージはむしろ砂浜のぬれた砂に近いと思います
浜辺で砂に埋められると身動きできませんよね
１回の雪崩でダンプカー数台分
さらに土石流のように木や石を巻き込み
時には時速１００Kmを超える速度で流れます

こりゃたまらん。しんでまうぅ～の世界なのです
しかしそんな知識も
目の前のぱふぱふパウダースノーには通じません
揉んでみたい。いやいや滑りたい誘惑に院長はころっとだまされ
というかホイホイ騙されてしまったのでした

第二部につづく